リバーマラソン参戦記 完
少し走りながら、カニは何故横歩きなのか考えてみた。
墓石のようなボディーを抱えて正面歩きでは、重心がとりにくいであろう。
そんな人間もいる? だけど横歩きは得意ではあるまい。
人類も初めてカニに遭遇した時、さぞ驚いたに違いない。捕まえようとすると予期せぬ動きをする。フェイントに唖然としたことであろう。
そもそも生命期間が短く、メディアもないのが動物の世界。生存競争を勝ち抜く知恵とは、まさにこの奇抜な発想。奇をてらった行動が身を助ける。
さて、レースを走るカニ人間の正体は不器用そのものである!曲がりくねった道でも無理矢理、真っ直ぐ走ることを身上としている?少しはカニにあやからねば・・・
話は本題に戻る。
コースは750M河口まで一気に下り、それから元のスタート位置まで昇る。
私のエントリーは3キロ。この往復コース×2往復である。
750M先までには関係者が数人、旗を持ち選手がコースから外れないよう見守る。
途中3箇所の深みがある。難関は河口の折り返し地点、この辺りの水深は60CMと膝上までどっぷりとつかることになる。この他にヘドロのような泥土によるぬかるみを100mと小石交じりの中州を合わせると、水と陸で半分づつという感じである。
最初から飛ばした。3キロなら息継ぎなしで走れるかもしれない?と始まる前は真面目に考えていた。しかし現実は・・・相当厳しかった。
泥土のぬかるみでは足をとられて全く走れない。川の中では足の動きが鈍る。いつもと様子がちがうことに、レース早々、違和感を覚えた。
それでも前半の折り返しまでは選手を抜く元気もあった。
「お-、巨大カニが追いかけてきたー」
「人間って結構早いじゃん。負けないぞ!」
そんなやりとりをしながら走っていた。
しかし、折り返しの深みから急に減速し始めた。
川の流れで足が思うように動かない。恐ろしいほどの抵抗である!本当のカニであればこのまま下流に流されてしまうことであろう。
足を高く上げてみると少し反応がよくなり始めた。しかし、リズムに乗るほどでもない。それ以降はずるずると順位をさげていく。
「疲れた~。こんなにきついレースとは思わなかった。しかし、足を上げハードルの要領で水を超えていけばスピードがでる!マラソンというより限りなく障害物レースに近い。為末選手はこのレースにより独自の走法を発見、世界を桧舞台とする礎を築いたとは過言ではあるまい?」
それでもコース員や沿道の「カニ-、頑張れ!!」の声援があり、その都度切れかけた緊張感を取り戻す。
手を振り声援に応えたり、指を2本立て上下交互に突き上げたりしているうちに最後の直線を迎えた。
レースではいつも余力を振り絞りゴールする習慣があるため(要するに目立ちたがり屋か?)その時も有終の美を飾るべく、仮装を忘れて真剣に川の逆流に向かい歩を進めた。
だが・・・もがけばもがくほど速度は上がらないものだ。また、ここはカニには負けるものかとランナーの走魂に火をつけてしまったのか、まるで狙い撃ちをされた獲物の如く、次々に近づき追い抜かれたのであった。ここに動物界の長たる人間の強さを垣間見た?何もそこまで小動物を叩き付けないで欲しい!と嘆きたくもなる!
ゴール後、地元のケーブルの取材を受けたあと、スポーツ飲料を流し込んで被り物を脱ぐと額から汗が噴き出してきた。足の疲労は太ももに集中していた事で、このレースの意味がようやく理解できた。このレースはやはり、短距離および中距離ランナーのフィールドであった。因みに上位入賞選手の大半は高校生の陸上部員であった。
しかし今回、初めて仮装をして走る良き経験が出来た。結構楽しむ事が出来たので、機会があれば再び被ってみたい!レース中に見せる厳しい般若のお面はそろそろ飽きた事だし・・・
その後いつもと違う充実した気持ちを感じながら中華料理屋に向かい、暑かった一日を振り返りながら思い出と共にカニチャーハンを腹におさめた。
完
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コメント
カニ姿、似合ってますよ!フェイスペイントまでしてるし(笑)。
しかし、水の中を走るって本当にキツそうですね。非常にいい足腰の鍛錬になったのでは?
投稿: キジ | 2009年8月 6日 (木) 18時44分
きーちゃん
似合っているはないっしょ!ペイントしなきゃ石田純一と間違われそうで?足腰はすいぶん鍛えられましたね~。これって絶対にきーちゃん向きのレースですね!
投稿: まーさ | 2009年8月 7日 (金) 08時50分
カニの姿で走って・・・
カニチャーハン!?(笑)
投稿: ega | 2009年8月 7日 (金) 20時24分
はい、えがさん。
カニの供養です!はうそで、ほんの洒落で食べてみましたよ。ひとつ真夏の思い出ができました!!
投稿: まーさ | 2009年8月 7日 (金) 22時38分
カニさんゴール後、
汗と共に泡は吹かれましたか???(笑)
投稿: 腹ぺこ | 2009年8月10日 (月) 12時17分
腹さん
泡はもったいなくって、とても吹く気になれません!口ひげ(鼻毛)に蓄え、乾ききったのど元に琥珀色の液体とともに流し込む??これは、毎日仕事のがれの習慣として身につけているカニ風飲料捕獲の法とでも名づけましょうか!?
投稿: まーさ | 2009年8月10日 (月) 18時16分