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野球観戦から見る起立問題  

僕は小学校6年生の男子。

今日は待ちに待った遠足の日!

マツダズームズームスタジアムで地元球団、広島カープの応援だ。

私の通う市立小学校では、学校行事として年に一度の野球観戦がある。

少し自慢だけど、OBに現役のカープ選手がいる。だから父兄にも熱狂的ファンが多い!

そのため、引率ボランティアは募集後直ぐ締め切りになるそうだ。

さて、担任のK先生は大阪府出身、根っからのタイガースファンだ。

奇しくも今日はその阪神と対戦する。

今年ここまでの対戦成績は、圧倒的にタイガースが優勢である。

私としては、何とかカープに勝利して欲しい!

球場に到着した。真っ赤な帽子が目立つ私たち集団は、例年通りカープ応援側に陣取る。場内放送より、私の通う小学校の名前が呼ばれ、見学御礼を告げるアナウンスがあった。

生徒一同、歓声により応える。

中盤まで、タイガースに大差をつけられていた。

劣勢のカープに、応援側スタンドの雰囲気は重苦しかった。

しかし、終盤に差し掛かる頃、看板選手がホームランを打つ!

『かっとばせー!くりはら♪くりはら♪くりはら♪』

メガホンを上下に振りながらスクワットに似た動きをとるスタンディングオペレーションは、すっかりカープ独特の応援スタイルに定着してきたようだ。

得点が入ると、立ち上がりながら万歳のポーズを取るウエーブがスタンド中に巻き起こる。

勿論、生徒たちもウエーブ仲間にいれてもらう!

終盤、大量点をあげたカープが試合を見事に引っくり返す。

引き続きチャンスが訪れる。周囲は否が応でも盛り上がる!

生徒も周囲にリズムを合わせ、見よう見真似の応援に興じた。

しかし、最高潮ともいえる雰囲気の中、担任のK先生は少しも愉しげな顔をしていない。

スタンディングオペレーション、ウエーブの最中でさえ、座って静かにプレイを眺めている。

その先生の周囲の生徒だけは、応援で立ち上がることなく座ったまま観戦していた。

そのうちの幾人かは、それでも応援が気になるように見えた。

しかし、明らかに野球観戦に興味を示さない生徒も窺えた。

そこに、熱狂的カープファンで知られる教頭先生がやってきた。

開口一番。

K先生、少しは生徒と野球観戦を愉しんでみてはいかがでしょうか?クラスでまとまって地元チームを応援することは、生徒に郷土愛と連帯感を持たせる絶好のチャンスですよ。

また、先生と生徒の親睦は学校行事の目的でもあります。K先生がカープファンではないことは知っているけど、ここは学校行事と割り切ってもらえないでしょうか?』

するとK先生は目を丸くして

『教頭先生、それは私がカープファンと同様、起立する応援を繰り返せという意味でしょうか?』

『うん、・・・だけど眺めていると君がちっとも応援しないものだから、君の周囲だけがムードに取り残されているようにも見えるよ。まあ、考えてもみてくれ、少数の生徒が先生に遠慮して試合を観戦したとする。これでは楽しいはずの遠足が果たしてどうなる?

また、本日引率のため参加している父兄の視線も、少しは気を使って欲しいよ』

『お言葉ですが教頭先生、本日は当然のことながら職務です。

だから、野球観戦を心から愉しむつもりなど、当初から微塵もありません。それどころか、引率により、とてつもなく神経を使っているのです。

だけど、私の周囲を選んで座る生徒は、実のところ私と同じくカープ嫌いの子や、また野球に興味を示さない生徒ばかりです。

この子たちは、球場での自分達の居場所を求める意味もあり、私のところに集まるのです。だから、その子達の言い分をしっかり聞いてあげることも大切な教育だと考えます。』

『だけど、児童がまとまり応援するムードに水を差す行為は考えものだよ。君の偏狭な考え方は周囲に悪い影響を与える。それに気がつかないとすれば君、教員失格だよ。』

『偏狭とは随分なお言葉ですね。それでは教頭お尋ねします。一部の生徒がこの先、野球に悪感情を抱く結果になったとしても無理矢理起立して応援するよう、私は指導しなければならないのでしょうか?』

『いや、少なくとも君だけは立って応援をしなくては示しがつかないと言っているのだよ。それは、例え誰かの感情を損なおうが、また特定の人にえこひいきになろうが・・・団体活動を円滑に遂行させることは我々の職務なんだよ』

『教頭先生、本日の私は仕事上の任務としてカープ応援席にいます。

その場所で応援する児童も、また応援しない児童もすべて私が受け持つ生徒です。生徒の野球に対する受け止め方はそれぞれに異なります。その一つ一つと向き合ってこそ、教育だと考えてきました。また、起立して応援する生徒、起立しない生徒がいて、お互いがそれぞれの立場と考え方を尊重し認め合う、また、自由闊達な意見交換をする。こうしたリベラルな雰囲気作りこそ、生徒指導に必要なことと考えます。今回、私が立ってカープを応援しないことを、むしろみんなの議題にして欲しいくらいです。』

『うむ-、君の考え方はよく分かったよ。ただ、今後、君のおかげで教育委員会や学校側の指導方針すべてに反抗する生徒や先生が増えないか不安だ。ところで、公務遂行において上司から発せられる職務命令に背くと、国家公務員法でどうなるか知っているかい』

『教頭先生、それって・・・威しですか?それでは私の教育に対する理念や信条は一体どうなるのでしょうか?公務員である以上、誰も守ってくれないのでしょうか?』

『そんな目くじらを立てなくても良いよ。君の好きなチームを変えろとは言ってない。ただ、決められた場所で、職員はしかるべき行動をとることの重要性について、もっと賢しこく振舞うように忠告したいのだよ。特に君は若くて将来がある身だからね。ただ、それだけだよ』

『ただ、それだけ?』

さて、上司である教頭に理不尽な要求を突きつけられたと怒りを覚えたK先生、早速この話を裁判所に持ち込んだ。すると、行政に媚を売る裁判官は、K先生の要求を不当と跳ね返した。そのタイミングを待っていたとばかりに行政の長は、学校行事により野球観戦に行った際、絶対多数のファンのいる場所(公共の場と呼んだ?)では、ご当地チームの応援歌が鳴り響く間は、引率の教員は一様に起立して応援しなくてはならないとの法案を提議した。

圧倒的勢力を誇るワンマン首長のいる議会のため、この法案はいとも簡単に可決、法案化したそうだ。因みに裁判官、首長はあの教頭と同じ熱狂的カープファンだったと聴く。

これは、K先生と同じく、別の学校で先生を勤める私の父親から聴いた話である。

父は続ける。

規則とは人を治めやすくするために次々と作り変えられる。

また、罰則だけが唯一、規則に重みを与える。

共同社会では、規則が出来ればできるほど道徳心が廃れ人心は貧弱に陥る。

また、考えても仕方がないやという諦念にも似た感情より、思考をしない人が増える。

歴史は繰り返される。教育の現場に行政や政治の圧力が必要以上に加わることは、実は恐ろしいことなんだ。

普段は優しい父のまなざしは、いつになく厳しい視線で遠い一点を見つめていた。

 

つづく

国家公務員法

(法令及び上司の命令に従う義務並びに争議行為等の禁止)

98 職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。

日本国憲法

19 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

廿日市トライアスロン応援記 

朝方は激しい雨であったが、大会の始まる10時には薄日が差してきた。

知人の人生初めての挑戦を見届けるため、9時前にトライアスロン会場に向う。

自宅よりスタート会場のある宮島までの距離は12Km。

とはいえ、日頃走りなれたランニングコースでもある。

今回はスタート地点にあたる大鳥居までフェリーで渡らず、選手が泳ぎ着く宮島口で待機することとした。

知人の挑戦はスイム。今回はリレーでのエントリーである。

その彼、学生時代から競泳の選手だけあって、見事な筋肉を身にまとう。

ここ数年間は、水泳の合間を縫い自転車とマラソンの練習を積んでいたそうだ。

元々謙虚な人柄ゆえ、これまではトライアスロン挑戦を一切公言しなかった。

しかし“1粒で3度美味しい”あの世界に足を踏み入れるのは時間の問題のようにも思える。

さて、その彼から先日、今回の出場のための涙ぐましい努力を聴かされた。

毎日通うスイミングスクールでは、今年より2キロから3キロの練習を日課とした。また、この2ヶ月間というもの、大好物のビールを一切口にしなかったとのこと。

これまで緊張感を持続でき、かつ充実した練習が積めたのではないかと予測する。

そんな彼のゴールシーンを見たくてたまらなくなり、ついつい会場に向う私の足どりも軽い!気がつくと、コースの自己ベストを軽々とクリアしていた!?

宮島口までは海岸線をひたすら走るのだが、何処からでも大鳥居の様子がよく見える。

陸から宮島まで直線距離にして約2キロ、しかし、あれほど大きな鳥居と宮殿を海上に建造する発想が実に面白い。平清盛は、よほど世間一般の常識が気に入らなかったに違いない。お陰で世界遺産に指定され、観光客は年々増加傾向にあると聴く。

さて、号砲が鳴り響くころには、スイムの到着点にたどり着いていた。会場には300人程度の見物客が選手の到着を待つ。

消防庁による監視艇、関係者のジェットスキーがゴール地点の安全確認のため入念なチェックを繰り返す。

いつもと違うところは、ゴミが浮かんでいないところだ!(普段はゴミの多い場所で、とても泳ぐ気がしないのだが・・・失礼!)

少しして、新聞社からギャラリーに向け参加者の名簿が配られる。

そこで、知人のゼッケンをしっかりチェックできた。実に気の効いたサービスである。

ようやく、シーカヤックに先導された先頭泳者が見えてきた。

まるで、かもめが水中すれすれに飛行しているようだ。

だけど、腕の動きが実に美しい。また躍動感がある!すっかり見とれていた。

次から次に視界に大きくなる。結構なスピードがある。

このクラスの選手は、こちらが足ひれをつけて泳いでも到底追いつかない気がした。

さて、知人が陸に上がった場所で声を掛けようと考え場所を移動する。

そこにはカメラが数台、カメラマン数人が待ち受けていた。

次から次に陸に上がる選手たち。

『頑張って!』

ギャラリーから断続的に声援と拍手が起きる。

さすが、トップ集団。実に切り替えも早い!

陸に上がるや否や、らスエットスーツの背中のファスナーを器用に下ろし瞬く間に上半身裸の状態となる。その後は、ホースを持った関係者が放つ水道水を、走りながら体をくねらして受け、海水を洗い流す。中にはその間に歯を磨く仕草をしたり、一瞬で水を呑んでしまう選手もいて驚いた!

選手は、自転車の置いてあるトランジションまでの坂道を軽快に駆け上がる!

とても2キロ以上を力泳した人と思えない。

恐るべし、アイアンマン!

さて、陸に上がる狭い斜面にはゴム製のマットが敷き詰められていた。

そこが滑りやすいようで、バランスを崩し前に倒れる選手が次第に増えたことが気の毒で仕方なかった。しかし、カエルのように手足を伸ばし、その後は脱兎のごとく笑顔で走り行くパフォーマンスが目立った。すべてに爽やかである。

『○○さん、お帰り!』

トップの到着よりわずか10分後、元気な知人の姿を見ることができた。

タイムは丁度52分であった。

私の声に反応し、大きく手を振ってガッツポーズを見せてくれた。

その顔に日頃の謙虚で温厚な表情はなかった。

仕事をやり遂げた後の、自信に充ちた男の顔を覗くが出来た。

『おめでとう!』

きっと、力自慢の腕に抱えきれないほどの大きな土産を持ち帰ったことであろう。

しばらくして、続々と陸に上がる選手のその後の健闘を祈りつつ会場を後にした。

帰り道に考えた事は、人生にチャレンジは必要ということ。

挑戦なくして、自分を変えることは出来ないということだ。

知人の挑戦は、これからも続く。

少しだけ先輩の自分も、気持ちを更に持ち上げることができた1日であった。

平清盛公も、力自慢の男達の存在を宮殿より目を細めて見ていたかもしれない。

この力、この力があれば日本は甦る。

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